【完】あなたが笑うなら、私は嘘をつく
あなたが笑うなら、私は嘘をつく
嘘はつけない
「最低女っ!!」
バチーン!
音とともに振り切られた手が目に飛び込んだ。
随分、思い切りひっぱたいたもんだ。
ビンタってさ、まず初めは、痛みよりも音にビックリするんだよね。
そんなことを冷静に考えながら、怒りに震える女の子から思いっきりひっぱたかれた、左側の頬をそっと抑えた。
頬に熱が帯びてきて、ジンジンと痛みに震えているのが徐々に分かった。
「彼氏いるの分かってて手出したんでしょ!?」
その言葉と共に、彼女はせきを切ったようにボロボロと泣き出した。
「別に。私は、彼を好きになったから好きって伝えただけ。自分に嘘をつかなかっただけ」
「っ……」
「……あんたが嫌なら、別にいいよ。次の人好きになればいいだけだし」
私はそう言って、呼び出された居心地の悪い屋上から立ち去った。
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