【完】あなたが笑うなら、私は嘘をつく
「ただね、その人には彼女がいたの。でも嘘はつきたくなかったから……」
「そっか…辛かったな」
ヒロにいは、優しく微笑んでそっと頭を優しく撫でた。
ヒロにいは、私を叱ったりしない。
いつだって、嘘をつかない私の味方。
「そのハンカチさ」
ヒロにいは、そう言って私が頬に当てていたハンカチを見た。
「司のだろ?」
そう…いつも私を叱る司とヒロにいは、兄弟。
「由香子には、司がいるから安心だな」
ヒロにいはベットにゴロンと寝ころんで、満足そうに微笑んだ。
「司なんて、嫌い」
「そう言うなよ。由香子のこと一番分かってるのは司だぜ?」
「ううん。私のことを一番分かっているのはヒロにいだよ」