【完】あなたが笑うなら、私は嘘をつく
「そうかな?」
ヒロにいは、クスっと笑いながら呟いて立ち上がると、キッチンにある冷蔵庫から氷を出して、袋に入れて持ってきてくれた。
「ただいま」
その時、司の声が玄関の方から聞こえた。
「おう。おかえり」
ヒロにいが部屋の扉を開けて、司を出迎えた。
司は、ヒロにいの部屋を覗いて、私の姿を確認すると、何も言わずに私のスクールバックを足元にボンと投げた。
「お前な、俺だけならまだしも、ヒロにいにも迷惑かけるなよ」
「別に迷惑なんてかけてないし!」
私は投げられた自分のスクールバックを引き寄せて、イッと顔をしかめた。