【完】あなたが笑うなら、私は嘘をつく
「ヒロにい…まさか由香子の為に戻って来たんじゃないだろうな?」
司は心配そうにヒロにいに尋ねた。
「いや。ちょうど向こうのご両親に話も済ませたところだったし、大丈夫だよ」
「でも…せっかくの休みだったのに…綾子さんとユックリしたかっただろう?」
「別に。気使うなって。結婚したら、嫌でも毎日一緒にいるんだからさ」
ヒロにいの言葉に驚いた私は、立ち上がっていた。
「ヒロにい…結婚って、何の話?」
私の言葉に、背を向けていたヒロにいが、幸せそうな笑顔を向けた。
「俺、来月結婚するんだ」
ヒロにいの言葉が胸にズンと響いた。
ヒロにいが、結婚……?
どうしよう…ものすごく、嫌だ。