万華鏡
第一章
1.新入社員
就職して3年目の春。
製薬会社の事務を仕事としている私は、今年入ってくる新入社員の指導を任されることになっていた。
今年この部署に配属されるのは、共に大卒の男女一名ずつ。
一体どんな子だろうと、毎年のことながら少々緊張気味なのだが、今年は指導者となることが一層緊張感を際立たせていた。
「宮下麗香でぇす。よろしくお願いしますぅ。」
何とも気の抜けた挨拶をされて、大丈夫なんだろうか…と思ってしまう。
髪の色は黒いものの、テカテカの唇やコテコテ睫毛を見ると、名前の通り、「派手」という二文字が浮かぶ。
一体どこが麗しいというのか…。
小さなため息を一つつくと係長の横に立ち、自己紹介をした。
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