万華鏡
「縁があれば、きっともっと早くに彼と再会してた。だから彼とはそういう巡り合わせじゃなかったのよ。
世の中広いようで狭い、狭いようで広いよ。」
「じゃあ、俺と君が今ここでこうして居る事は、ある意味奇跡だよな。」
「うん。現にあなたと出会った時、結婚するなんて思ってなかったし。
よく『谷原さん』て声かけてくるなあ、程度だったもの。」
「へー、そんな風に思ってたんだ。」
そう言うと椅子から立ち上がって私の背後に回った。
私の首に両腕を回して抱き締められた。
そして私の耳元で、
「俺は初めからそのつもりだったけど…。」
「え?…や…あ、あれ?おかしいな…。」
「こら!誤魔化すな。」
こつん、と頭を小突かれて振り向くと、軽くキスをされた。
「なあ。そろそろ二人目欲しくない?」
「え?」