万華鏡


「久しぶりだね。理佳子。結婚おめでと。」

そう言って部屋の中に入って来てベッドに腰掛けた。

「…千…尋…。」

「約束しただろ。会いに行くって。

今までずっと理佳子の事守ってきて、これからもそうしたかったけど、それも今日で終わりなんだ。だから挨拶に来た。」

「何で?ずっと傍にいるって約束したじゃない。…じゃあ、明日から千尋はどうするの?」

「ん、俺?俺ね、生まれ変わるんだ。」

「え?」

「もうこうして君の前に現れる事はできなくなる。こうやってこの姿で話せるのは、あの和尚さんのお陰なんだ。生まれ変われるのもね。」

「…あの和尚さんは一体何者?普通の人じゃないよね?」

「人だけど人じゃない。んー、説明すんの難しいな。一杯修行して、あの世の入り口とこの世を行き来できる人…て言えばいいのかな。」

「…ふーん。よくわかんないけど、この世を去る人の道案内みたいだね。」

「うん。そんなとこ。」



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