万華鏡
それから二年が経ち、息子が生まれた。
生まれた時の産声はとても元気がよくて、でもその声は私には「やあ、理佳子。」と言う千尋の声に聞こえた。
そして千尋が私の子として生まれたのだと悟った。
約束通り千尋は生まれ変わり、私は千尋を見つけた。
生まれた子に『千尋』と名付けたのは私。
夫には幼馴染みが『千尋』という名だとは言ってない。
これは生涯言わないだろう。
夫は優しく、私にはもったいないぐらいの人。
結婚して一生共に生きていくと誓った。
夫の事は愛しているし、ずっと一緒にいたいと思う。
でもどうしてだろう。
宿命を感じるのは『千尋』。
何度も生まれ変わって、今度同じ時を過ごす事ができたら、その時は離れないよ。
だって私たちは宿命という名の元に生まれたのだから…。