万華鏡
課長の乾杯の音頭で宴会が始まり、しばらくすると、
「よっ!」
後ろから声をかけられて振り向いた。
「ああ、関口君か。」
「何だよ。俺じゃ悪い?」
「ごめんごめん。そうじゃないって。ちょっとね、睡眠不足なだけ。」
「睡眠不足?もしかして例の子か?」
「例の子…て何?何か話でも聞いてるの?」
「俺たちの間でも彼女、結構噂になってる。」
「何て?」
「ブリブリの麗香ちゃん。」
プッ。
思わず口に入れた付き出しを吹き出しそうになった。
「何それ?」
「俺たちと話す時の彼女の顔、見たことある?」
「ああ…。」
と返事を返した。
「あれ?ウーロン茶?アルコール飲めなかったっけ?」
「ううん。今日はね、飲まないことにしたの。で、彼女の顔が何?」
「ああ。こう上目遣いに目をパチパチさせて…。」