万華鏡


「これだろ?幹事には言ってきたから。」

「ありがと。助かったわ。それじゃ。」

駅へ向かおうとすると後ろから肩を掴まれた。

「送るよ。そんな顔色悪いのに、一人で帰らせることできないだろ。」

「でも、それじゃ悪いわ。折角の歓迎会だし…。」

「丁度いいよ。纏わりつかれて困ってたんだ。」




「宮下さん、苦手?」

「へー、随分ストレートなんだな。もっと遠回しに言うかと思ってた。」

「え…。あ、ごめん。」

「いいよ別に。苦手なのは本当だし。谷原さんこそ彼女に色々教えてるけど、どうなの?」

「…ここんとこ失敗続きでちょっとね…。でもよく頑張ってると思うわよ。」

「ふーん。俺には失敗だけじゃなくて、彼女自身に疲れてるように見えるけど。」

「え?何でわかったの?顔に出てたのかな。」

片手で口元を覆った。




< 15 / 108 >

この作品をシェア

pagetop