万華鏡
「俺たちとはそんなに顔合わさないから、他の人は多分気付いてないと思う。
何かと理由を付けて纏わりつかれてる俺としては、きっと彼女を担当してる君は大変なんじゃないかと思って。」
「…よく見てるのね。関口君には隠し事できないな。」
「話ぐらいしてこいよ。いつでも聞いてやるから。体調が良くなったら二人で飲みに行こう。今日の仕切り直し。」
「そうね、考えとく。今日はありがと。色々助かっちゃった。私の家、ここだから。」
「そうなんだ、ふーん。案外近かったんだな。」
「え?何が?」
「いや、こっちの話。それじゃゆっくり休めよ。じゃな。」
今歩いて来た道を引き返して行く彼を見送って、部屋の鍵を開けた。