万華鏡
3.お隣さん
幼い頃は「理佳子ちゃん」と呼んでた千尋が、小学校高学年にもなると「理佳子」と呼び出した。
相変わらずニコニコ笑顔で「理佳子。あのさ…。」と話始める。
彼の言葉を制するように「あのねえ。」と遮った。
「千尋は何でそんな偉そうに私を呼ぶのよ。」
「え?偉そう…?だって理佳子も俺の事千尋って呼ぶし…。」
「私は年上だからいいの!あんたは私より二つも下じゃない。それにいつも私の前でビービー泣いちゃって。軟弱男なんだから。」
「だって理佳子が…う…。」
「ほーらまた泣く。偉そうに呼ばないで。ふん!」
「千…尋、ごめん…ご…め…。」
はっと気付くと涙を流していた。
また千尋の夢か…。どんだけ後悔してんだ私は。
昨日、帰って来て着替えもせずにそのまま寝てしまったようだった。