万華鏡
関口君と話してると楽しい。ちょっと膨れた顔も子供みたいで可愛いし。
千尋の事思い出しちゃう。今頃どうしてるんだろ。
「…さん。谷原さん?着いたよ、マンション。」
「え?あ、ああ、ごめんなさい。少しボーッとしてた。家まで送ってもらっちゃってありがと。関口君も気を付けて帰ってね。また明日。」
「おー。」
関口君が帰って行く後ろ姿を見送って、エレベーターに乗ろうとしたけど、昨日の事を思い出して階段を使う事にした。
ふう。さすがに階段で四階は疲れる。残業してきた体には堪えるわ…。
部屋の鍵を開けようとしたところで、リョウ君と出くわした。
「あれ、理佳子さん。お帰り。随分遅いじゃん。」
「リョウ君。ただいま。仕事が終わりって時にミスっちゃって…。」
「ふーん。こんな時間まで女の人が仕事なんて大変だね。」