万華鏡
「仕方ないわ。ミスった分の穴埋めだもん。」
「明日も遅いの?」
「うん。多分ね。」
「この辺物騒だし、俺駅まで迎えに行こうか?」
「えー。いいよそんなの。悪いわ。」
「ほら、昨日のこともあるじゃん。俺も一応男だし、痴漢避けにはなるでしょ。
駅に着く時間メールで知らせてよ。アドレス教えて。」
躊躇っていると、
「ほら早く。」
と急かされる。仕方なくケータイを差し出すと、
「赤外線で入れてもいい?」
と聞く彼に黙って頷いた。
「ほい、できた。明日必ずメールしてね。」
そう言って部屋に入って行った。
駅から家までの道は薄暗く、ちょっと帰りが遅くなると人通りもない。正直怖かった。
少々強引ではあるけど、リョウ君の気持ちは有り難かった。