万華鏡
「…さん。谷原さん。どうしたんですかぁ。ボーッとしちゃって。お弁当にしましょうよ。」
「あ…ごめん。そうだね。」
部屋の中は私と宮下さんの二人だけで、皆食堂へ行ったみたいだった。
「ねえ、谷原さんてぇ、好きな人いるんですかぁ?」
「な…何?藪から棒に。」
「そんな警戒しないで下さいよぉ。ただどうかなってだけでぇ。」
「好きな人ねぇ。いないかな、今のとこ。」
「えー、勿体なぁい。谷原さんみたいに可愛くて素敵な人、回りがほっとかないと思うんだけど。あ、もしかしたら彼氏がいると思われて、反対に声かけないのかな?」
「さあ、どうなんだろ。でも…。」
「でも?」
「例えば好きな人がいて、その人に気持ちを伝えるのって難しいよね。宮下さんも関口君にそう思ってるんじゃない?」
「そうなんですよねぇ。関口さんてストレートに表現されるの苦手みたいだし。だったらこれからは押せ押せ路線は止めて、引いてみようかと…。」
「そっか。上手く伝わるといいね。」
「はい!でも今、宮下さん"も"、て言いましたよね?ということは谷原さんも?」