万華鏡
7.ストーカーと告白
その日、消してしまったデータの入力が全て終わり、やっと残業から解放されることになった。
「やったあ!終わったー。谷原さん、ありがとうございましたぁ。以後気をつけまぁす。」
にっこり笑った彼女に、「お疲れ様。」と声をかけた。
7時か…。今日はリョウ君に迎えに来てもらわなくていいかも。
そう思って断りのメールを送った。
駅からマンションに向かう途中、スーパーに寄って買い物を済ませ、店から少し歩いたところで異変に気付いた。
誰かつけてきてる…?後ろから視線を感じる。またこの間の痴漢…?
足を早めると同じ歩調でついてきて、小走りに行くと…やっぱりついてくる。
怖くて、怖くて、怖くて…その場で動けなくなってしまった。
やだ…どうしよう。こんなことならリョウ君に頼めばよかった。
スーパーの袋を持つ手に汗が滲む。涙まで出てくる始末。
「ねえ。」
という言葉と同時に、肩にポンと手が置かれた。
「ひっ!!」
あまりの怖さにしゃがみ込んでしまった。
「え…あの、ちょっと…。理佳子さん…?」
はっ。この声は…。