万華鏡
「…それ、嫌味?」
「へっへー。恥ずかしさ200%だったからちょっと仕返し。」
「理佳子さんには敵わないや。」
「じゃ、またね。」
「うん。」
リョウ君の優しさって、ちょっと千尋と似てるかも。黙って迎えに来てくれるとことか。さりげなく手を差しのべてくれるような感じ。
千尋が余りにも近くに居過ぎて、してもらう事が当たり前になってしまっていたあの頃。
居なくなって存在の大きさに気が付いた。
意地を張って引っ越し先もわざと訊かず、千尋の記憶に蓋をして、知らんぷりを決め込んで…。
何であんなにも千尋に当たっていたんだろう。私の思春期のイライラを全て吐き出していた。
来週の土日を使って千尋を訪ねてみよう。引っ越し先がわかればいいけど。