万華鏡

「え…。やだ、変な事言わないでよ。今日みたいな事初めてだよ。」

「でもさ、気を付けた方がいいよ。関わらない方がよくないか？」

「うーん、そうねえ。」

「彼氏とかいるんだったら相談してみろよ。」

「彼氏？…やっだあ、いるわけないじゃない。いたら今日ここにいないわよ。それとも、彼氏がいても違う男とお酒を飲むような女だとでも？」

ケラケラケラ…と笑いながらビールを口に運んだ。

「本当に？」

「うん。いないいない。」

手をパタパタと左右に振って否定した。

「じゃあ…立候補しようかな。」

は？何を言ってるの、関口君は。

「またそんな冗談言って。もう酔ったの？」

「まだ酔ってないし。至って真面目だけど。」

「……。」

そういえば、宮下さんがそんな事を言ってたような気も…。

本気なの？

宮下さんの言葉を聞かなかったことにして、考えないようにしていたのに…。

しばらくしてブワッと赤くなったのが自分でもわかった。