万華鏡
第二章
1.再会
電車を乗り継いでやって来たのは、千尋の引っ越した街。
この街に千尋が住んでいるのだと思うと、会えるかもという期待と嫌われてるかもという不安が押し寄せる。
先週リョウ君とコウ君が帰った後、実家に電話をした。
『千尋が引っ越した住所わかる?』
『わかるけど…手紙でも出すの?』
『ううん。会いに行こうと思って。』
『会いに…て、何でまた急に。』
『んー、けじめ…かな。』
『…そう。じゃあちゃんと手土産持って行きなさいよ。』
教えてもらった住所を頼りに駅に降り立った。
駅からはバスかタクシーを使えばすぐに着ける。
でもこの街を見ておきたくて、ゆっくり歩きながら行く事にした。