万華鏡
「い…た…。」
手首を掴んでうずくまる千尋。慌てて洗面所からタオルを持ってくると、それで傷口を縛り、千尋のお母さんが働く病院へ駆け込んだ。
結果、千尋は5針も縫い、私は自分のしたことにただただ謝るしかなかった。
「痛い?痛い?ごめんね、ごめんね、ごめ…。」
包帯が巻かれた手にそっと触れながら、涙が止まらなかった。
「理佳子ちゃん、もう痛くないから。大丈夫だから。泣かないでよ。理佳子ちゃん。理佳…子…。うえ…ひぃっく。」
「何であんたが泣くのよぉ。えっ…えぐっ…やっばり痛いんじゃない~。」
「違う~。うえっ…理佳…理佳子ちゃんが泣くから~。うわーん。」
わんわん泣きながら二人で手を繋いで帰った。
端から見ると何とも可笑しな光景だった事だろう。