万華鏡
千尋の世話を焼くことで回りの大人たちからは、『えらいね』『さすがお姉ちゃんだね』などと誉められ上機嫌になり、また更に構うという構図ができあがった。
少しずつ狂い出したのは千尋が小学3年生ぐらいだったと思う。
勉強ができて体育も音楽も…絵を描くのも上手かった。特に工作はすごくて、大人顔負けのアイデアがポンポン出てくるし、手先がとっても器用だった。
そんな千尋にいくら年上とはいえ、何も教える事がなくてお姉さん面ができなくなり、嫉妬した。
それでも私はそれを表に出さないよう、今まで通り過ごしていた。
6年生になると思春期に入り、私の心の中には千尋…というより《4年生の男の子なんかと一緒にいたらクラスの友だちに笑われる》という気持ちが芽生えた。
今から思うとそんな事ないと思うのだが、当時の私は回りの目がとても気になっていた。
それでも、外ではツンツンしてても、家ではお互いの部屋を行き来していた。
中二になり、部屋に友だちを二人呼んでガールズトークをしている時、たまたま用事を頼まれた千尋が私の部屋までやって来た。