万華鏡
素直になることができないまま、気まずくなった関係を修復する事なく、そして謝る事もできずに時が過ぎていった。
千尋もまた私に会わないようにしていたのか、お互い顔を合わせる事もなくなった。
そして私は中学3年になったが、千尋は同じ中学に入学することなく引っ越してしまった。
おじさんの転勤で、千尋のお母さんは勤めていた病院を辞め、当然千尋もそれについて行った。
高校、大学と進学し、就職してもその事が心の片隅にいつも引っ掛かって…。
千尋にあんな酷い事をしといて、自分だけ楽しく過ごすなんてできない。私はもっと辛い目に会えばいい。そしたら少しは千尋の辛さがわかるかな…。
そんな気持ちでいるうちに、だんだんと本音で人と接する事ができなくなった。
まともに異性とも付き合えなかった。
出会ってもいつも千尋と比べている自分がいた。
いかに千尋が大切だったのかを思い知った。