万華鏡
心の中の箍(たが)が外れたように涙が溢れ出した。もうずっと誰かに言って欲しかった言葉だった。
自分で自分の首を絞めたようなものだけれど、もういいよ、と認めて欲しかった。
和尚さんの前で、子どものように泣いた。
しばらく和尚さんは私を泣かせてくれた。
ただ黙って本堂の真ん中にある仏像に向かって手を合わせていた。
泣き止んで落ち着くと、胸の奥深く突き刺さっていたものが取れたかのように、すうっと楽になった。
「気分はどうですか?」
「何だかとてもすっきりしたような感じです。和尚さんの言葉で、今までいかに自分の気持ちを偽り、大切にしてこなかったかがよくわかりました。ありがとうございました。」
深々と頭を下げた。
「もう一人、悩めるお方がいらっしゃったようですね。」
「え?」