万華鏡
「こんにちは。」
という明るい声で入って来たのは、紛れもないリョウ君だった。
「リョウ君…。」
「え…何で理佳子さんが…?」
「お二人ともお知り合いでしたか。」
「同じマンションの隣同士で…。」
「ほほう。これはまたすごい偶然ですね。どうぞこちらへお座り下さい。」
「…いや、理佳子さんが終わるまで外で待ってますよ。」
「私はもう終わったから。」
そう言って腰を浮かせた。
が、和尚さんは私を引き止めた。
「リョウ君のお話は貴女にも関係があるようですよ。聞いていかれたらいかがですか?時間は大丈夫ですよね?」
リョウ君はまだどんな話をするのか何も言ってないのに、どうしてわかるんだろう。
私がこの後急ぐ用事がないことも…。
不思議で仕様がなかった。
「和尚さんは相変わらずお見通しですね。」
リョウ君の言葉に微笑むと用意していた座布団を勧めた。