万華鏡
「…よかった~。このままだとどうしようかと思いましたよ。でも何で俺なんかに…。霊感とかそんなん何もないのに。」
「理佳子さんがいたからですよ。」
「…え?わ…私?」
「そうです。生前好きだった女性と似ていた貴女をずっと守っていたのでしょう。
でもその気持ちが高じて、遂にはリョウ君の体を使って、してはいけない事をやってしまいました。
理佳子さんには嫌な思いをさせて、またリョウ君には申し訳ない事をしたと…そう言って旅立たれました。」
和尚さんの話は突拍子もなく、にわかに信じられるものではなかった。
この世に霊なんて存在するのだろうか。
「理佳子さん。迷惑かけてごめんね。あの後、自分の意思とは関係のない行動で、どうすればいいのか混乱して謝る事ができなかった。」
「ううん。リョウ君が悪いんじゃないから。気にしないで。取り憑かれたのも私のせいかもね。ごめんなさい。」