万華鏡
家の中から声が聞こえた。聞き覚えのある声に嬉しくなる。
ガラリと開いた扉から現れたのは千尋のお母さん。久しぶりに会ったその姿に思わず頬が綻んだ。
「こんにちは。ご無沙汰してます。」
ぺこりと頭を下げる私にポカンとした表情で、玄関に立ち尽くしている。誰だかわからないといった顔でしげしげと私を見つめた。
「…谷原…理佳子です。」
「…え…理佳子…ちゃん?」
おばさんは随分驚いた様子で、でもすぐに家の中に招き入れてくれた。
リビングに通されて、
「今、お茶入れてくるわね。」
そう言うと対面式のキッチンへパタパタと入って言った。
ここが千尋の住んでる家…。
ぐるっと部屋の中を見渡すと、部屋の壁際に置いてあるガラス張りの棚には幾つかのトロフィーが置いてあった。