万華鏡


「…きっかけは理佳子ちゃんなのよ。」

「え?」

「強い人がいいって言われたからって…。基本的には自分から飛びかかるような子じゃないでしょ。合気道なら護身術だからできそうだって言って。」

「そうだったんだ…。」

私の見栄っ張りな一言でこんなに一所懸命だったんだね…。凄いよ千尋、優勝なんて。

「…あの、おばさん。私ね本当は今日、千尋に謝りに来たの。」

「謝る?何を?」

「私が中二の時の事なんだけど…酷い事言って傷つけちゃって。おばさん、千尋から聞いた事ある?」

「…それ、もしかして強い人がいいって言われた時の事かしら?」

「うん、そう。」

「そんな事でわざわざ?そんなに酷い事とは思わないけど。」

私はゆっくりと首を左右に振った。

「あの後ね、私が傍に来ないでって言ったの。泣き虫は嫌だ…て。…でも千尋が泣いたのは私の前だけだったの。私が勝手に決めつけて…誤解してたのが…わかったの。



< 85 / 108 >

この作品をシェア

pagetop