万華鏡
6.宿命の人
あれから五年が経った。
私は結婚をし、優しい夫と子どもに囲まれ、幸せな生活を送っている。
「ママー。これ見せて?」
「うん、いいよ。でもこれはママの宝物だから大事にしてね。」
「うん!」
「ただいま。」
「あ。パパだ。おかえりなさあい!ねえパパ、これ一緒に見よう。」
「お、万華鏡か。懐かしいな。どれ?」
子どもの手から受けとると覗いてくるくると回した。
「へー。これ随分綺麗だな。」
「あー!パパずるい。ボクが先ー。」
「ああ、ごめんごめん。」
子どもに万華鏡を渡して、私に言った。
「あれ、すっごい綺麗だな。あんな綺麗なの見たことないよ。手作り?」
「うん、そう。昔、工作が得意だった…お隣さんがくれたの。思い出が一杯詰まった…万華鏡。」
「そっか。」
「さて、ご飯にしよっか。」
「千尋、ママがご飯だって。」
「はーい。」