万華鏡
夜、子どもを寝かしつけた後。
万華鏡を覗いてみた。
あの時、どこからともなく現れて、第一声が『迷子?』だったんだよね。
今から考えると24歳の大人に失礼よね。まるで子ども扱い。
いつから千尋は私より偉くなったんだ?
そこへいつの間に来たのか、夫が声をかけた。
「なあ。」
「なあに?」
「万華鏡。今まで出したことなかったじゃん。どしたの?それ。」
「んー、何となく。もう時効かな…と思って。」
「時効?」
「うん。」
万華鏡を顔から下ろして、昔の自分がどんな女の子だったのか話す事にした。
「私ね、幼馴染みがいたの。とても素敵な幼馴染みでね、勉強もスポーツもできて、おまけに優しくて格好良かったから人気者だった。
で、その人気者が何でもできちゃうから妬けてね。意地悪したの。…一杯傷付けて、最後は軟弱は嫌、強い人がいい…て言ったの。すごく嫌な子だったのよ、私。