おもちゃのユビワ
次の日、ナオのアルバイトに向かう足取りは重かった。



自分を好きな人がいるというのは、満更でもない。嬉しいという気持ちもあったが、ナオは拓巳が好きなのだ。高木に家まで送ってもらうわけにはいかなかった。どうしても断らなければ。



ナオは気合いを入れて店に入った。



「中崎ナオ入ります。」



早速高木がニコニコしてやってきた。



「中崎さん、今日はなんと、6時上がりにしてもらったんだ。昨日約束したのが嬉しくってさ、頼んだんだよ。だから、後でね!」



「ちょ、ちょっと、待って、高木くん!」



呼び止めたが、高木はサッサと持ち場についてしまった。



(あ~、何でこうなるんだろう~)



高木のペースにすっかり乗せられていた。



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