おもちゃのユビワ
「お姉ちゃんたちの事なんだけどね。」



「兄貴たちの?」



「別れたっていうか…。」



「エエッ?マジか。」



「はっきり別れたっていうと、ちょっと違うんだけど、二人とも忙しいでしょ。だから距離をおくことになったらしいの。」



「へ、へぇ…。距離をおく…か。そんな忙しいのか。」



「お姉ちゃんは就活だし。お兄さんだって、夏は作品を創るのに結構忙しいでしょ。」



「そうか、それもそうだな。小池の姉さんは兄貴より年上だったのか。」



「そうよ、知らなかった?お兄さんに聞いてない?」



「男兄弟なんて、そんな彼女の話するもんでもないんじゃね?よそは知らねーけどさ。」



「そんなもん?」



「ああ。でも、距離をおくだけなら別れた事にはならないんじゃねーのか。」



「忙しいが理由で会わないなんて、逆に言えば会わなくても平気って事だよ。時間の問題だわ。」



「そんなもんかね?」



秀二には分かりかねる話だった。確かにナオと会わないでいられるかというと出来ないが、忙しい相手のためになら会わなくても平気な気がする。



「秀二くんは知っておいた方がいいかなって思って…」



秀二は小池がなぜ自分が知っていた方がいいと思ったのか、少し気になった。



「どうしてそう思ったの?」



「どうしてって…」



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