おもちゃのユビワ
「ねえ、ナオ。秀二くんてさ、私の事嫌ったりしてる?」



「えぇ?何でよ。」



「だって、今だってナオに話しかけてきて、私すぐとなりにいたけど、完全無視だよね?」



確かに秀二はとなりにいた紗季には目もくれず、一言もない。いくらクラスメートになったばかりでも、あいさつくらいはするものである。



「ああ…。プッ、ハハッ」



ナオはおもわず、笑ってしまった。



「何よー?なんで笑うのよ。」



紗季が口を尖らせて言った。



「ごめんごめん、またかって思って笑っちゃった。」



「また?」



「秀二さ、小さい時から女の子と話すの超苦手なの。超恥ずかしがり屋。
でも、私は幼なじみで兄弟みたいなもんだから、話しかけてくるでしょ?
そうすると、私の周りにいる女の子はみんな、紗季みたいに『無視された?』って言うの。新しい友だちは毎度毎度同じ事を言うから笑っちゃった。」



「へー。秀二くん硬派なんだ。」



「そうなのかな。」



「で、ナオは特別なんだ?」



紗季は冷やかすように言い、ニヤリと笑みを浮かべた。



「アハハッ。」



「ん?認めたな!」



「違う違う!それもみんな言うんだ。」

< 13 / 200 >

この作品をシェア

pagetop