おもちゃのユビワ
シロップは一見ペンキが入っているような缶で、とても大きく重たかった。



「ここで会ったのは運命だな。へい、かわいそうな女子たち、僕らのマシンにそのシロップを乗せな。」



三上は調子良く小池たちのシロップを運ぶことを引き受けた。



「本当?」
「いいの?ありがとう。」
「助かるわ。さすが係だけのことはあるわね。」



三上は女子たちの口々に言う称賛を浴びながら、せっせとリヤカーにシロップを乗せた。



三上は申し訳なさそうに、ちらりと秀二の顔を見た。



「言うと思ったよ。」


秀二はあきれた顔で言うと、リヤカーを引っ張った。



「さすが、秀二。オレのこと愛してるだけあるな。お見通しだ~」



「ばーか。」



ナオが聞こえるように言った。



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