おもちゃのユビワ
ショーが開催されている体育館へ行くまでに、先日愛と入った妙な喫茶店があった。



(愛ちゃんと来たのはここだったな…)



秀二が思い出していると、ナオが大きな声を上げた。



「ああっ!秀二、何これっ!」



「は?」



ナオが指を差した方を見ると、何と秀二と愛が仲良く頭を寄せ合う写真が拡大されて、その喫茶店の窓に貼り出されていた。



「あっあっ、これは、その、無理矢理店員に撮られたっていうか、店員が俺と愛ちゃんの頭をにくっつけて…」



秀二は慌てて言い訳をした。



「ふーん、愛ちゃんて言うんだ。」



「いや、愛ちゃ…下の名前しか知らなくて、えっと、何か分かんないだけど、いつの間にか写真を…」



慌てて話す秀二の顔は沸騰したように真っ赤だった。



「へ~、楽しそうだね。」



ナオは気に入らないのか、少しすねた様子を見せた。



(あ~あ、マジかよ…)


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