おもちゃのユビワ
もう一つの文化祭
日曜日、いよいよ拓巳の文化祭に行く日がきた。



「わ~、楽しみ。拓兄ちゃんどんな絵描いたんだろ?」



「兄貴は風景画が得意だからな。」



「そうだよね。」



ナオは無邪気に浮かれていた。拓巳に会える事が何より楽しみなのだ。



秀二は、そんなナオを見て、少し妬けたがいつものことである。平静を装っている。



秀二はそれよりも、小池に会わないことを望んだ。



小池の話からすると、拓巳と彼女、つまり小池の姉は今は付き合ってはいないはず。距離をおいているのだと聞いていた。



ナオを連れて行っても拓巳が彼女を連れてはいないだろう。



その点に不安はあまりなかったが、ナオと一緒にいることを小池が見たら、小池はやはりいい気はしないだろう。



小池に何をしてあげればいいかは分からないが、悲しませたくはなかった。


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