おもちゃのユビワ
ナオは拓巳のいる会場に入った。拓巳が自分の作品の前に立っている。



「拓兄ちゃん!」



ナオに呼ばれ拓巳はゆっくり振り向いた。



「ナオ。」



「拓兄ちゃん、私拓兄ちゃんに言わなきゃいけないことがあるの。」



「なんだい?」



拓巳はナオを、さっき秀二と話していたところに連れていった。



「拓兄ちゃん、私拓兄ちゃんがずっと好きだった。本気で好きだった。」



拓巳は驚く顔ひとつせず、優しい笑顔をしている。



「ありがとう。ナオ。」



「うん、うん。」



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