おもちゃのユビワ
(あいつやっぱ兄貴んとこに行きたいのか…)



秀二はナオの気持ちに気付いていた。



ナオは兄貴が好き。



秀二にとっては、信じたくない事だったが、事実であることはとっくに分かっていた。



幼い頃からずっと一緒だったのだ。ずっとナオだけを見てきたのだ。



ナオは一途に兄貴を想っている。自分の入り込む余地はない。



どうしてナオの好きなやつは自分じゃないのか。よりによって、兄貴なのか。



その事実に悩み続け、眠れない日々を過ごす事もあった。



いっそのこと、ナオを忘れてしまうことができれば、どんなに楽だろうか。



でも、ナオはこれからも隣に住み、幼なじみとして接していくのだ。



秀二は、見返りのない相手をただ好きでいる事に慣れるしかなかった。


< 24 / 200 >

この作品をシェア

pagetop