おもちゃのユビワ
その日、ナオと秀二はいつものように二人で帰っていた。秀二はまた兄貴の事を持ち出されるのではないかと思い、違う話題を持ち出し続けていた。



「この間借りたDVD面白かったよ、ナオも見るだろ?」



「…うん」



「お前読みたいって言ってたマンガだけどさ、明日新しいの発売なんだぜ。
明日買いに行こうぜ。」



「…うん」




いつもは何も話さなくても平気なのに、今日はギクシャクしている。



一緒に歩いていても、ナオのいる方の右半分が固まっていくように感じた。



ナオは秀二の話に生返事をしながら歩いていた。寝不足もあって、秀二の話は頭に入って来なかった。



ナオはもう一度、秀二に拓巳の所へ一緒に行ってくれるよう頼むつもりでいた。



「ねー秀二…」



来た!ナオが今口にしようとしている話は兄貴の所へ行く話に決まっている。



秀二はナオが話し出す前に切り出した。



「あのさ、ナオ…」


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