おもちゃのユビワ
その晩、秀二は仕方なく拓巳の携帯に連絡してみた。



4、5回コールすると拓巳が電話に出た。



「あ、兄貴?」



「おう、秀二!元気か。」



「ああ、兄貴も元気そうだな。」



「どうした?」



「ああ、ええっと…」



「なんだなんだ、秀二。」



秀二は、なかなか言い出せずにいた。秀二と拓巳は仲の良い兄弟の方だが、やはり、用もないのに遊びに行きたいとは言うのは恥ずかしい感じがした。



拓巳は秀二が何か言いたげにしているが、言い出さないので、話題を変えた。



「秀二、父さんも母さんも元気にしてるか?まだ1ヶ月しか経ってないけどな。」



「ああ、元気。母ちゃんはよく兄貴の事を話に出すよ。モンブランに紅茶が好きだとか、それがナオと同じだとか…」



「おお、ナオは元気か。相変わらず遅刻寸前学校行ってんのか?」



「そうなんだよ。今は同じクラスだから、目立つんだよ。」



「あはは、そうか。お前ら同じクラスになったのな。」



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