おもちゃのユビワ
次の日、秀二は複雑な思いでいた。ナオを喜ばす事ができる反面、ナオを兄貴に会わす事になるのだ。
秀二は平静を装い、ナオの家のチャイムを鳴らした。
ピンポーン
「はーい」
出てきたのはナオだった。
「おぅ。2日連続歩いて学校だな。」
「ね、ね、拓兄ちゃんに電話した?」
ナオはあいさつもせず、早速拓巳の話を持ち出す。
「ああ、電話した。」
「で?なんて?」
ナオは秀二に答えを急がせた。
「行きながら話すから靴を履け。また遅刻寸前になっぞ。」
「そうだね。行ってきまーす。」
ナオのお母さんの「行ってらっしゃい」の声が近づくのが分かったが、早く結果を聞きたいナオはそれを待たずに玄関を出た。
「いいのか、母ちゃん。」
「いい、いい。で?来てもいいって?」
「ああ、日曜日にでも行くか。」
「やったー!」
ナオの満面の笑み。だが、この笑みを見ることができるのは、拓巳の事で喜んだ時だけだ。秀二は少し切なくなった。
秀二は平静を装い、ナオの家のチャイムを鳴らした。
ピンポーン
「はーい」
出てきたのはナオだった。
「おぅ。2日連続歩いて学校だな。」
「ね、ね、拓兄ちゃんに電話した?」
ナオはあいさつもせず、早速拓巳の話を持ち出す。
「ああ、電話した。」
「で?なんて?」
ナオは秀二に答えを急がせた。
「行きながら話すから靴を履け。また遅刻寸前になっぞ。」
「そうだね。行ってきまーす。」
ナオのお母さんの「行ってらっしゃい」の声が近づくのが分かったが、早く結果を聞きたいナオはそれを待たずに玄関を出た。
「いいのか、母ちゃん。」
「いい、いい。で?来てもいいって?」
「ああ、日曜日にでも行くか。」
「やったー!」
ナオの満面の笑み。だが、この笑みを見ることができるのは、拓巳の事で喜んだ時だけだ。秀二は少し切なくなった。