おもちゃのユビワ
「さあ、入れー。」



拓巳がドアを開けると、ナオが最初に入った。



「どれどれー?」



ナオが見渡したが、部屋はわりと整えられていた。



「キレーだよ、拓兄ちゃん!」



「だろ?一人暮らしだと誰も掃除してくれないからな。汚さないようにしないとな。」



「いつまでもつんだろーな。」



秀二が口をはさんだ。



「あぁっ!拓兄ちゃんたら携帯持ったんだって?」



「ああ。」



「なんで教えてくんないのよー。もう!」



ナオは口を尖らせた。



「まあまあ、先週買ったばっかりだよ。そう怒るなって。」



「はい、番号は?あとメルアドもね。」



「オレ、メールやらないよ?」



「エーッ」



「やなんだよ、メール。」



「信じらんないっ。拓兄ちゃん古っ。」



「ナオ、諦めろ。兄貴にはメールは無理だ。」



秀二がまた口をはさんだ。



「はあぁ…、今時メールやらないなんて。」



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