おもちゃのユビワ
「ねえナオ、藤村くんとケンカ?」



紗季はナオが怒っている原因を聞いた。



「ケンカって程じゃないけど、あいつらヒドイのよ、私の事女じゃないとかって話てんの。女じゃなかったらなんだって言うのよねえ紗季?」



「ふんふん、なるほどね。」



紗季は聞き終えると納得したように言った。



「分かった、ナオは藤村くんに女として見られたいのね。」



ナオはそれを聞いてびっくりして頭を振った。



「違うっ、それは違うっ。」



「えー?じゃ何で怒るのよ。」



「なんかね、そういうんじゃないんだなー。…私たちずっと幼なじみだからさ、兄弟みたいなんだよね。その関係がなんかもうやだっていうか…」



「だから、その兄弟を卒業して彼女に昇格したいと!」



「違ーう、そうでなくて!」



「よく分かんないんだけど…」



紗季にナオの気持ちが理解できなかったのも無理はない。秀二に女として見られたいのではない、拓巳に女として見られたいのだ。



ナオは思いきって言った。



「私さ、秀二のお兄ちゃんが好きなんだ…」

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