おもちゃのユビワ
次の日から練習に参加することになった。放課後、部活に行く前にナオが話しかけてきた。



「秀二、遅くなるだろうから先に帰るね。」



「ああ、しばらくは先に帰ってくれ。」



「じゃ、がんばれー。」



そう言うとナオは1人で帰って行った。



その後すぐに小池が秀二に話しかけてきた。



「じゃ、秀二くん行こっか。」



「…あ、ああ。」



小池は人なつっこい性格なのか、秀二に対してなれなれしかった。お互いの兄弟が付き合っているからこその態度なのかも知れない。



秀二はそんな小池の態度が気に入らなかったが、小池がつい口を滑らせて拓巳に彼女がいるという事実を、ナオに言ってしまわないかという気がして、何も言えずにいた。



< 76 / 200 >

この作品をシェア

pagetop