おもちゃのユビワ
その日の練習が終わり、秀二と小池は一緒に帰ることになった。



「それで、話っていうのは何?お姉ちゃんたちのこと?」



小池は不思議そうな顔をしていた。そう思うのは当然の事だろう。



「変な話なんだけど、兄貴と小池の姉さんが付き合っている事は内緒にしてくんねーかな。」



「内緒…。別に言おうとは思ってないけど、どうして?」



「知られたくないんだ。」



「誰に?」



小池は核心をついてきた。



「いやー、俺と中崎は幼なじみなんだけどさ。もちろん兄貴もそうなんだけど、ナオは兄貴を慕ってて、ブラコンなんだよな。だから兄貴に彼女がいるってバレると、なんつーか、ショック受けんだよ、あいつ。ていうか、ブラコンなんだ、ブラコン。」



秀二は、ナオが拓巳を本気で好きである事を伏せて話そうとするあまり、焦ってしゃべっていた。



「ふーん、そう…」



小池はそれだけ言って黙った。



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