おもちゃのユビワ
幼なじみ
秀二には兄がいる。
二つ年上の拓巳だ。去年までは拓巳も一緒にこの高校に通っていた。今は卒業し、大学に通っている。



「ねえ、ナオ。ホントのとこどうなのよ。」



ナオの席の後ろはこの春、友達になったばかりの紗季だ。



「どうって…
ただの幼なじみかなあ。」



「ただの幼なじみって一緒に登校するかなあ?付き合ってんじゃないわけ?」



紗季はナオと秀二の関係が理解できない。紗季だけではない、たいていの人は二人を恋人だと思っている。



「信じないなら、いいよ!」



ナオは紗季に怪訝な顔で返事した。



「ごめん、分かった分かったよ、ナオ。」



「まったくもう!」


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