おもちゃのユビワ
「小池…?」



秀二は小池が黙ってしまったので、どうすればいいのか分からず、ただ並んで歩いた。



(なんかマズイこと言ったのか、俺?)



しばらく黙っていた小池が口を開いた。



「秀二くん、前にクラスのみんなに冷やかされた時、中崎さんはただの幼なじみだって言ってたよね。あれ本当?」



「ああ、まあな。」



「…ウソつき。」



「え?何?」



小池の声が小さくて秀二には聞こえなかった。



「ううん、何でもない。」



「あの、内緒にしてもらってもいいか?」



秀二は恐る恐る聞いた。



「うん、分かった。いいよ。でも、大会の日はお姉ちゃんも一緒に来るだろうね。中崎さんも来るの?」



「来るだろうなー。」



「来るって言ったの?」



「いや、直接来るかどうか確かめたわけじゃないけど、よっぽど用事がなければ来るだろうな。」



「そうなんだ…困ったね。」



「はあぁ、どうすっかな~」



「秀二くん、私家こっちだから。じゃあね、また明日。」



「ああ、また明日。」


小池は小さく手を振ると、小走りに帰って行った。日が長くなったといっても、7時をまわっている。女子高生が1人で帰るには少し心配な気がした。



< 80 / 200 >

この作品をシェア

pagetop