おもちゃのユビワ
ナオはグラウンドの端に常設されている観覧席で秀二が練習をしているのを見ることにした。



「やってるやってる。」



秀二はトラックを走っていた。



「あー、走り方前と変わってる。」



ナオは中学のとき、秀二のサッカー部のマネージャーだっただけあって、秀二の走り方の変化に気づいた。



「前を向いて走ってるし、姿勢がいいわ。へー。」



しばらくすると休憩時間になり、秀二がナオの傍に来て座った。



「ヒマじゃね？」



「全っ然。」



「ふーん。」



「あっ、秀二走り方変わったね。」



「ああ、がむしゃらに走ってもダメなんだよ。先生に教わってんだけど、あいつ昔は選手だったんだって。」



「へー、見かけによらないね。」



休憩の間、二人で過ごしているのを、遠くから小池が見つめていた。



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