おもちゃのユビワ
秀二はこのスリーショットの気まずさに耐えられなかった。何を話せばいいかも分からず黙っていた。



一番初めに話し出したのはナオだった。



「小池さんは何で陸上部のマネージャーになったの？」



「もともとは選手だったんだけど、膝を故障してね。リタイアしたけど、やっぱり陸上が好きだから、マネージャーになったの。」



初めて聞かされる事実に秀二は驚いた。



(選手だったのか…)



「マネージャーも結構やりだすと楽しくない？私中学の時サッカー部のマネージャーだったんだ。」



「中学？じゃあ秀二くんのマネージャーだったってこと？」



「やだ、秀二のマネージャーではないよ。サッカー部のマネージャー。」



「そうだったの…。中崎さんと秀二くんはホントにいつも一緒だね。毎朝一緒に登校して来てるし。中学では部活も一緒だったなんて。ただの幼なじみってそんなものなの？」



「いつも一緒ってわけじゃないけど、家隣だし、昔から一緒にいたから。自然とこうなっちゃった感じだけど…」



ナオは確信した。小池はやはり秀二の事が好きである。小池の話す言葉の端々には少しとげがある気がした。



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