おもちゃのユビワ
大会当日。

初夏の風が爽やかに吹いていた。

秀二のコンディションは申し分なかった。



秀二は今までの練習の成果を発揮した走りを見せた。



「いいぞ、藤村。そのまま行けーっ!」



先生の声がメガホンを通して聞こえてきた。


秀二は走った。拓巳の事や、ナオの事、小池の事なども一切考える事なく走っていた。



このタスキを次のランナーに託す、それだけを考えていた。



爽やかな風と沿道の声援が、秀二を気持ち良く走らせた。



(ああ、気持ちいい!)

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