トシシタカレシ。
第1章
入学式
あたしがこの『星ノ森高校』に入学して丸一年。
次の春がやってきた。
…もう入学して1年も経っちゃったのかぁ、時間が経つのって本当あっという間で嫌になるなぁ…。
そんな事をぼんやり考えているうちに後に後輩となる新入生の入学式が始まった。
君が代から校長先生の挨拶、新入生の呼名。
仕舞には初めて見るような顔のおじさん(教育委員会)の挨拶。
どれもこれも長くて退屈で、在校生が入学式に出る意味あるのかなって思う。
そんな中あたしは落ち着かない表情を浮かべている新入生の方を見た。
そういえば自分にもこんな頃あったなぁ、なんて思ってみたり。
中3の時は友達と「高校に入学したらカッコいい彼氏作ってデートしたーい!!」…なーんて馬鹿げた事言った気もするけど、今は違う。
恋愛なんて全く興味ナシ。
あたしは今、演劇部に入ってる。
部員は全部で11人。
本当はもっといたけど、先輩達は卒業しちゃったから今はこの人数。
一応演劇部としては多い方なんだろうけど、その中でも男子部員はたったの2人。
このままだと男子が足りない。
男子部員確保のためにも、今年の新入生歓迎会は頑張らなきゃ!!
…そんな事を考えながらあたしは長い長い入学式をやり過ごした。